「シゴトのカタチ4」第4回(佐藤萬里子さん)レポート

文:清野(猫の手)/写真:我妻(猫の手)

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「シゴトのカタチ4」の最後となる第4回の講師を務めたのは、ユニバーサルファッションデザイナーの佐藤萬里子さん。

ユニバーサルファッションデザイナーとは、その人の体型や障がいの有無に関わらず、全ての人が快適に生活できるような衣服をデザインし、提供する仕事。
もともと洋裁を仕事にしていた佐藤さんは、病気や障がいを持った人たちの服の不自由さに気付き、「ユニバーサルファッションデザイン工房繕」を設立。様々な悩みや障がいを持つ方の服作りを行っています。

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お話は、実際に佐藤さんがデザインされた服を紹介しながら進行。病院での苦労話や、その服に込められたストーリーをお話し頂きました。中にはリウマチで悩む方のため、車で1時間以上かかるお宅を何度も訪問しつつ完成させたものもあり、この仕事の難しさを感じさせるストーリーも。
洋服の歴史や成り立ちに関しても造詣が深く、こうした服に対する深い想いが、作品に現れているのだと感じられました。

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ファスナーやスリットひとつをとっても、そこに着やすさ・動きやすさなどへのアイデアが込められおり、その機能性を上手くデザインに取り入れていることがわかります。「ちょっとした不便がデザインのチャンス」。”機能的”かつ”おしゃれ”であるという、佐藤さんの服作りのポイントです。既製品にはない着心地の良さがあります。

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ハトロン紙を自由に使って洋服を作るワークショップでは、小さい頃に戻ったつもりで楽しく手を動かしました。完成した作品は、ただ1枚の紙から作ったとは思えない出来映え!その完成度の高さに、講師の佐藤さんから思わず感嘆の声も。
ただ1枚の紙に、折る、穴をあける、ねじるといった単純な作業で衣服が出来るという工程は、衣服の本質を感じさせてくれる面白い内容。ユニバーサルファッションデザインにも繋がる発想です。

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「ひとつひとつの洋服に物語がある。障がいなどであきらめていた方もおしゃれも楽しめることで、生きる意識につながることもある」と佐藤さん。ユニバーサルファッションデザインには、洋裁技術だけでなく、障がいや体の特徴など着る人への理解、知識が必要です。ゆえに、真に人の生活に密着した仕事のひとつと言えるでしょう。

ワークショップ終了後も、熱心に佐藤さんの作品を見る参加者がいらっしゃいました。
たくさんの笑顔につながるこの仕事。これを機に、もっと広がりがみられると嬉しく思います。