「シゴトのカタチ5」第3回(齋正弘さん)レポート

文:大泉(メディアデザイン)/写真:今村(猫の手)

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今回の講師である齋正弘さんは、1981年に開館した宮城県美術館に準備段階から勤務し、来館者と直接ふれあう「教育普及部」でお仕事をなさってきました。開館中は誰でもいつでも使える「創作室」で利用者の相談に応じたり、おもに10歳以下の子どもたちを率いて美術館の裏表を巡り、驚きと出会う「美術館探検」を行ったり。
http://www.pref.miyagi.jp/site/mmoa/education-education-04.html
http://www.pref.miyagi.jp/site/mmoa/education-education-06-02.html

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学校での図工や美術とは全く違うそのユニークな活動は、日本の美術館における教育活動の先駆者として高く評価されてきました。定年で退職なさいましたが、今も毎週木・金・土は県美術館でお仕事を続けておられます。
また、仙台や沖縄の大学で学生を指導していますし、最近では茨城県近代美術館に呼ばれ、「ワカラナイ ノ ススメⅡ」という展覧会の展示を参加者と見て回ってお話をしてきたそうです。
http://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/exhibition/kikaku/index.html

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そんな齋さんによれば、「ワークショップ」の本質は一人ひとり個別の相談に応じること。先生の指示でいっせいに作業をしたり作品を作ったりするのは講義や講座であって、ワークショップではない、と言います。
この日の講座も「ワークショップ」を名乗っていただけに、ちょっと青くなってしまいマシタ…。しかし米国での経験や、ご自身の母校である宮城教育大学で受けた教育のお話など、具体例を交えて分かりやすくご説明いただくうちに、参加者の間に「ナルホド!」が広がります。

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他にも「ビジュアルシンキング」という美術教育や、作品を見たり創ったりすることで「他人とは違う《自分》を生きる」ことができる、などの刺激的なお話が次々と展開します。
後半は司会役の大泉が持ち込んだ画集から、参加者に一つずつ作品を選んでいただいてお話をお聞きしました。しかし齋さんの「いいと思ったら言葉はいらない!」に、みんなビックリ。
どんな作品でも、細部までよく見て疑問を持ったり、自分なりに想像をはたらかせたりすることが一番面白いし、一番大切だとのこと。いくつかの作品について実際にその例を挙げていただき、みんなで笑ったり感心したり。

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あっという間に時間が来て、最後に皆さんに感想をお聞きしました。「楽しかった」「みんなとは違う自分で良いのだと自信が持てた」という方が多く、主催者としてはうれしい限りです。
「子どもの時に美術館探検で齋さんに出会いたかった」という方もいらっしゃいましたが、今からでも遅くありません。宮城県美術館の創作室に訪ねて行きましょう!
「ワークショップ シゴトのカタチ5」シリーズはこれにておしまい。あとは12月6日の特別編を残すだけとなりました。齋さん、参加者の皆さん、どうもありがとうございました。