EPUB3を選んだ理由―電子書籍を作る(2)

3030itoメディアデザインではEPUB3仕様の電子書籍を作ることにしました。現在、多くの電子書店でスタンダードとなりつつある規格であることが一番の理由ですが、それ以外にも電子書籍作成のプロセスにEPUB3を選ぶメリットを見出すことができます。
ebook_process


音声が再生できる電子書籍――視覚障害者や普通の印刷物を読むことが困難な人々のためのデジタル録音図書の国際標準規格DAISY図書というものがありますが、このDAISYの次世代規格DAISY4は中間フォーマットの形となり、DAISY4規格の電子書籍は、エンドユーザーの手にはEPUB3の形式で配布されるようになるとか。EPUB3が作成できれば、それと同じプロセスでDAISY図書も作成できるのです。

次のDAISY4は、皆さんが手にするときの形はEPUB3という名前になりますが、次のような4つの種類になります。

まず録音図書。音声とDAISYのナビゲーションができる目次だけの録音図書。これもEPUB3になります。
それからテキストと目次。音声の入っていない。静止画像を入れてもいい。音声の入っていないテキストDAISYと言ってもいいです。その代わり、読ませるときは音声合成エンジンTTSが必要。それが第2のEPUBです。
第3のEPUBは、テキストと録音図書を合体したもの。今で言うマルチメディアDAISYです。
そして第4が登場します。第4はそこにビデオが入るということです。手話を見たい人は手話の画面を入れる。あるいは動作を説明するときに言葉で説明されてもなかなかわかりませんから、言葉で説明すると同時に動画を使いたいという場合、動画も使えるというものです。

(「DAISYの新時代―EPUB3とDAISYの連携によるインパクト」河村 宏 DAISYコンソーシアム 会長より)


AmazonのキンドルストアではEPUBファイルをキンドル用のMOBIファイルに変換してくれます。
>>サポートされているファイル形式


.bookやXMDFといった規格でも記述フォーマット(中間フォーマット)にはEPUB3と同様にXMLが使われていることから、EPUB3の規格に準拠したファイルが作成できれば他の規格の電子書籍を作成するのも容易だと考えられます。


また、電子書籍作成のプロセスとは直接関係ありませんが、今年の7月1日に施行される改正国立国会図書館法では、電子書籍や電子雑誌などの「オンライン資料」を国会図書館に送信する義務が生じますが、その受入れ規格の一つがEPUBとなっています。(他はPDF、PDF/A、DAISYに限定)
>>国立国会図書館:オンライン資料の収集
こういった状況からも、EPUB3が電子書籍の代表的な規格と認識されていることがうかがえます。