ワークショップにはいろいろな種類があります。
「表現創作系」「課題解決系」「教育系」「手作り系」など。
この研究室では、主に「教育系ワークショップ」について考えることにします。
ワークショップには教育機能があります。これは「教育系ワークショップ」に限らず、「表現創作系」「課題解決系」「手作り系」にも共通する機能です。
ワークショップの代表的な機能には、他に「コミュニケーション促進機能」があります。これについては、次回考えることにしましょう。
ワークショップでは「楽しさ」が大切にされます。しかし「みんなが楽しんだから良かった」で終ってしまってはエンターテイメントです。もちろんワークショップがエンターテイメント的要素を含むことは否定しませんし、ワークショップがエンターテイメントより上だと言っているわけでもありません。
ただ、ワークショップがエンターテイメントではない以上、受講者(参加者)の成長が無ければ「教育的には機能しなかった」ということになります。エンターテイメントでは「楽しかったか?」という評価がなされるように、ワークショップでは「受講者は変わったか?」という評価がされなければなりません。
ワークショップの教育機能に注目した実践としては、たとえば次のようなものがあります。
開発教育協会の参加型学習
http://www.dear.or.jp/activity/
学びの場.comのワークショップ型授業
http://www.manabinoba.com/index.cfm/6,2890,14,html
全国教育系ワークショップフォーラム
http://skunkworks.jp/wsf/
いずれも優れた実績を残しています。
それではワークショップとレクチャーを比べた場合、ワークショップはレクチャーに勝るのでしょうか? すべての教育は、レクチャー形式ではなくワークショップの形式で行われるべきなのでしょうか?
もちろんそうではありません。レクチャーとワークショップにはそれぞれ長所があるので、教育の目的や内容に応じて使い分けるべきなのです。
レクチャーでは一度に大勢が、高度な内容を、短時間で、効率よく学ぶことができます。
◎講師が話して受講者は聴く
◎説明によって学ぶ
◎講師と受講者のやり取り
ワークショップでは適正な人数であれば、深い内容を、主体的に、身をもって学ぶことができます。
◎受講者が主役(ファシリテーターが脇役・観客)
◎体験的に学ぶ
◎受講者の相互交流
私自身もレクチャー形式で授業や講座を進めることがあります。しかしたとえば、レクチャーの最初に問いを発して挙手によって答えてもらい、その結果を手がかりに話を進めることもできます。隣に座った人同士で、その答えについて対話してもらったりもします。ワークショップの手法を取り入れているわけです。
逆にワークショップのまとめに、レクチャーを行うこともあります。その時間に受講者が体験したことを、実際の社会状況と結びつけて説明するなどして、学んだ内容を言葉で再確認してもらうためです。
私は大学や専門学校で、ワークショップの手法を取り入れたいくつかの授業をしています。高等教育に限らず、日本の学校ではワークショップがもっと試みられるべきではないでしょうか。そして大きく見れば、日本の教育はそうした方向に向かっていると思います。
(大泉浩一)
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